
上原 賢司 准教授
kenji Uehara
■所属学科:文化総合学科
専門分野
グローバル正義論
現代政治理論
国際政治思想
研究テーマ
国際協働の公平性
境界線をめぐる規範理論
天然資源と正義論
自己紹介
2018年から、国際関係論や政治学入門を担当しています。幼少時からこれまで千葉で生活し、ほとんどの時間を関東で過ごしてきました。北海道で暮らしはじめてまだまだ日も浅いですが、同じ日本の中での様々な違いを前に、いつも新鮮な気持ちで生活を楽しんでいます。
「千葉で生まれ育って」という言い方をしなかったのには訳があります。実は生まれて間もなくから半年あまり、私は札幌で暮らしていたそうなのです(もちろん、記憶にはありません)。親からはいつも、「昔、円山公園で写真を撮った。あの頃はかわいいかわいいとちやほやされていた」といった話を繰り返し聞かされてきました。何十年も経て再びこの地で暮らすことに、奇妙な縁を感じています。
私の専門は、近年日本でも論じられはじめている、グローバル正義論という分野です。これは、政治学の中でも、規範的政治学と呼ばれる分野の国際版とみなすことができます。その中でも特に、人びとの享受すべき財とは何か、人びとの間のどのような不平等が不正義とみなされるのかといった、分配的正義に着目して研究してきました。この分配的正義を、国境を越えてどのように構想していくことができるのか、そもそも構想することができるのか、といった論点について長年考えてきました。
現在の私は、こうした抽象的な原理にまつわる議論とともに、より具体的で越境的な問題群についてグローバル正義論からどのような理解を導き出すことができるのかに関心があります。たとえば、公平な貿易とは何であるのか、偶然の産物として各国に分布している天然資源の占有や消費をどのように考えていくべきなのか、リベラルな価値観を押しつける働きをどう捉えるべきなのか……。特殊で狭い分野に見えても、興味が尽きることはありません。
とはいえ、自分の現在の問題意識も、世界に生きる人びとの中でも大分偏ったものであろうと思います。だからこそ、様々な興味関心を抱いて国際関係について学ばんとする学生とともに、私も学生も世界への新たな視点を獲得できるような、学びの機会を作っていきたいと思います。
講義?演習
「現代社会」基礎演習D(1年、前期?後期[同一内容])
現代政治や国際関係に関する新書の講読を行います。それを通じて、発表の仕方、文献の探し方、レポートの書き方等を学習してもらいます。
国際関係論(1年、前期)
国際社会の歴史、グローバリゼーションの意味、人権や安全保障といった基本的概念についての講義をします。
国際関係論入門(1年、後期)
国際政治学の代表的理論やグローバル正義論の中心課題についての概説を行い、各自の問題関心と照らし合わせて学習してもらいます。
政治学(国際政治学)入門(1年、後期)
選挙制度やデモクラシー、国内政治と国際政治の相互関係等についての講義をします。
国際関係論特講A-a(2?3年、前期)
移民や難民をめぐる世界の現状を確認し、その上で移民の倫理学や多文化主義の政治理論について紹介します。
国際関係論特講A-b(2?3年、後期)
戦争をめぐる正義、「正戦論」という考え方や、「人道的介入」の規範的意味についての講義をします
国際関係論演習a(2?3年、通年)
学生の興味関心に沿って文献を選定してもらい、それについての報告およびディスカッションを行っていきます。
卒業研究演習
学生各自のテーマに沿って、学術的な文章である卒業論文執筆に向けた指導を行っていきます。
主な業績
著書
上原賢司(2017)『グローバルな正義──国境を越えた分配的正義』風行社。